REHABILITATION ART


こころとからだとアートの『リハビリテーションアート』


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なんらかの疾患により認知機能低下(認知症も含む)により、記憶力、注意・集中力、段取り、意欲、現実味などなどの低下がみられることがあります。おそらく病院でリハビリをされている方も多くいらっしゃると思いますが、先の見えない治療に、ご本人、そしてご家族の方もご心配されているのではないでしょうか。表情を作ることが難しい方は、ご本人が嬉しいと思ったり、悲しいと思っていても感情表現ができないことがあります。考えていることがうまく伝えられないこともあります。そもそも考えることが億劫なことさえあります。


「こころとからだとアート」のリハビリテーションアートは、絵を描くことを主としています。そして描くことを通して様々な機能の回復を目指します。まず、神経心理検査を実施し、どのような認知機能低下がみられるかを調査します。その結果から、その方に合った絵画によるリハビリテーションプランを立て実施していきます。


はじめは思うように描けないかもしれませんが、上手く描くことよりも手を動かしたり頭で考えたりすること、作品を通してモノ創りの喜びや誰かと気持ちを分かち合うこと、またご自分の内面を表現するツールとして、ここでしか学べない「こころとからだとアートオリジナル手法」がリハビリテーションになると考えています。上手い下手にとらわれず、評価されず、自分の大切な作品創りを通して楽しんで取り組むことができます。今までに絵を描いたことのない方はもちろん、絵を描いたことのある方は、絵画技術の向上も合わせて取り組んでいただけます。私たちはできなくなったことに注目しがちですが、機能低下したものを回復させる努力より、残存する機能を向上させる方が楽だと言われています。


みなさまをご指導させていただくのは、長年絵画教室を営み、アメリカのクラフト画家の弟子であるスーザン・シーウィ手法絵画国際認定講師で医療従事者(リハビリテーション科)でもある芸術療法士が指導させていただきます。


ご自分ではなかなか一歩踏み出せない方、このホームページにたどり着いたのはご家族かもしれません。生きていく喜びのひとつに、このリハビリテーションアートが一助になれば幸いです。


<注意点>

  • リハビリテーションプランの立て直しはその都度行っていきます。
  • 必要な神経心理検査があれば、ご相談の上、実施いたします。
  • 機能回復には個人差があります。症状により効果は様々です。全員に効果があらわれるとは限りませんので、予めご了承ください。
  • 改善には時間がかかります。1回、2回の単発受講は受け付けておりません。
  • 病院に通院されている方はその旨をお伝えください。場合により病院と連携することができることもあります。

◆スーザン・シーウィ手法絵画によるリハビリテーション

  • 記憶力、注意・集中力、段取り、意欲、現実味その他の低下による生活上の困難さを聴取し、機能回復を目指します。
  • 神経心理検査に基づき、個人の機能を評価します。


【受講の例】

  • 1回目:お問合せ後、神経心理検査の予約と神経心理検査の実施(約2時間)
  • 2回目:神経心理検査の結果と今後のプランのご説明と相談(1時間)
  • 3回目:リハビリテーション開始(1時間)

★ 約1年後に初回同様の神経心理検査を実施し、評価します。

  • リハビリプランの立て直しはその都度していきます。
  • 必要な神経心理検査があればその都度ご相談のうえ実施させていただきます。
  • 機能回復には個人差があります。症状により効果は様々です。全員に効果があらわれるとは限りませんのでご了承ください。
  • 改善には時間がかかります。1回、2回の単発受講は受け付けておりません。
  • 通院中の方はお知らせください。

【リハビリテーションアートの事例】

<症例1:30代男性>


ある日、後天的脳の萎縮による記憶障害、意欲低下、仮面様顔貌、平衡感覚の障害など多岐に渡る障害のある方がお母さまに付き添われて私のもとに来られました。当初は話すこともほとんどされず、椅子に座ったままぼーっとしていました。私は彼に何をすればいいのかわかりませんでした。何かを作ろうにも意欲がなく、ただ来ているだけの時間が流れていました。


しかし、このような状態でも外に出て街を見ること、歩くことに意義があるとお母さまとお話をして、我慢の日々でした。半年経つ頃から、少しずつ話をしてくださるようになりました。ある一定期間の記憶がないとおっしゃいました。


それ以前のことはよく憶えておられました。絵を描いてもらうと、柔らかい色でした。次に簡単なペーパークラフトをしました。徐々に会話が増えました。ペーパークラフトは自分で説明を読み、わからないところを私に読んでくれと言うようになりました。そのうち私に口ごたえするようになり、よく笑うようになり冗談を言うようになりました。そのうちに作業所に通うことになりました。はじめは通所経路を忘れてしまうこともありましたが、徐々にバスに乗って作業所まで一人で行くことができるようになりました。


これで私とのセッションは終了しましたが、お母さまとのつながりはその後もあり、時々近況報告をしてくださいます。今では作業所で収入を得るまでになったそうです。お母さま、もちろん本人の努力は大きいものだったと思います。そして医療の助けもあり、私とリハビリテーションアートをしたことで、当時は回復が難しいと言われていた症状が働けるぐらいにまで回復しました。


この経験は、私にとっても素晴らしく嬉しいことでした。


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<症例2:80代男性>


様子を見てほしいと男性の家族から依頼され、最近寝たきりになってしまい、トイレにも一人で行ず、息子さんが抱えて連れていく状態の男性宅に行きました。


お話はできるけれど、こちらのことがわかっているようでわかってないような微妙な感じでした。家に置いてあった鉛筆と広告の裏紙をつかって、似顔絵の描き合いをしました。私が先に男性の顔を描いてみせ、そのあとに男性に私の顔を描いてもらいました。会話をしながら手を動かし、みんなで笑いました。


そのやり取りをしている最中に、男性がトイレに行きたがりました。そして息子さんに支えられながら立って歩いてトイレに向かわれたのです。家族一同顔を見合わせました。私もびっくりした瞬間でした。何がどうなったのか不思議でしたが、私はアートの力だと感じました。


その後、寝たきりを脱したとご連絡がありました。